鈴木始さん

鈴木左官工業所
「本当はコックになりたかった」という鈴木さんが左官の仕事を始めたのは、中学を卒業してすぐ。大勢の職人を使っていた左官業2代目親方の家に生まれ、小さい頃から、よく職人の仕事場について行ったという。25歳の時に先代である父が亡くなり、それから本気で仕事を覚えるようになったという。

左官の仕事に拘らず、どんな仕事も断ったことがないという鈴木さん。「今までやったこともない大きな現場のときは、さすがに不安だったけど、自分にやらせてくれる限りは精一杯やります。」常に自分の能力や新しいことに挑戦する姿勢と、「何とかしてあげたい、喜ばせてあげたい」という思いが、鈴木さんの行動力と豊かな人脈の源なのであろう。

太豊建設との出会いも大工さんの紹介。「太豊の社長は話しやすいですよ。職人の話をよく聞いてくれて、納得したら『じゃあ、そうしてみようか』と言ってくれる。だから仕事がやりやすいんですよ。」ハウスメーカーや大手の工務店では、相談の余地なく、一方的に工程表が渡され、どうしても工期優先にならざるを得ないらしい。

この仕事で苦労することは「天気」。室内の京壁の塗り替えも、湿気が多いと1日でカビてしまう。丁寧に塗った壁を、カビをはがして下地からやり直したことは数知れない。「やればやるほど難しい。分かれば分かるほど難しい。『これでよい』ということがないから。」「とっかかったら真剣に・・・。悪いときは素直に謝り、お客さんが満足するまで直す」のが信条。

毎年、お正月と夏休みには、必ず奥様と旅行に出かける、その道40年のベテラン左官、鈴木さんは、常に自然体で心優しい匠だ。